皺やたるみを加速する老化線維芽細胞とその秘密

肌の真皮層に存在する線維芽細胞

コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸等を作り出す細胞として有名ですが、皺やたるみの原因にこの線維芽細胞の老化が大きく影響しています。

老化とは?細胞の減少と細胞機能の低下

今日は、この線維芽細胞の老化のメカニズムと、その対処法についてご説明します。

何をやっても無駄!?老化のスパイラルとその引き金

肌の真皮層でのコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの減少が、シワやたるみの原因であることは皆さんご存知だと思いますが、それらを作り出す線維芽細胞の老化についてはあまり知られていません。

Looking older: Fibroblast Collapse and Therapeutic Implications

2008年に発表された「年をとったように見える:線維芽細胞の崩壊と治療上の意味(直訳)」というタイトルのこちらの論文に、線維芽細胞の老化と肌老化のメカニズムについてまとめられています。

エラスチンが不足すると、真皮層を構成しているコラーゲンマトリックス(細胞の居場所である組織)が断片化してしまいます。健やかな若い肌では、このコラーゲンマトリックスが整っており、ここに細胞が付着してその組織のたんぱく質を作り出しているのですが、断片化した組織には細胞が付着することができません。

付着できなくなった細胞は、組織からの情報を得られなくなり、細胞の機能が崩壊してコラーゲンなどのたんぱく質を作ることができなくなってしまいます。

この機能低下した線維芽細胞が、その後老化細胞として肌の中に蓄積され、コラーゲン分解酵素などの老化を促進する物質を多く放出します。

また、断片化したコラーゲンマトリックスは、通常の分解酵素では分解されることがないため、老化たんぱく質として肌の中に蓄積していき、AGEなどの元になります。

A:健康な線維芽細胞 B:機械的張力を失った老化線維芽細胞 C:健康なコラーゲンマトリックス D:断片化したコラーゲンマトリックス

この線維芽細胞の崩壊は一旦開始されると、正味のコラーゲン分解へのバランスのこのシフトは、自己永続的で終わりがなく、高齢者に見られる薄くて壊れやすいコラーゲン欠乏皮膚につながります。

論文より引用

肌の弾力が失われ、スッカスカになっていくのは、この線維芽細胞の老化と、そのきっかけとなるエラスチンが減少することが原因です。そして、それが始まると「自己永続的で終わりがなく」老化スパイラルを止めることができないとされています。

Arch Dermatol. Author manuscript; available in PMC 2010 Jun 17.

Published in final edited form as:Arch Dermatol. 2008 May; 144(5): 666–672.doi: 10.1001/archderm.144.5.666,PMCID: PMC2887041,NIHMSID: NIHMS201349,PMID: 18490597

Gary J. Fisher,1,2 James Varani,3 and John J. Voorhees2

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2887041/

老化線維芽細胞は除去することができない?

藤田医科大学「老化細胞の蓄積」より

通常は、機能低下し老化促進物質を放出する老化細胞は免疫細胞である「マクロファージ」が弱らせて貪食することで除去をしていきますが、加齢でそのマクロファージ自体も機能低下を起こしているため、除去することができなくなります。

実はこれ、肌の中だけでなく全身の組織で同じようなことが起きているのです。

この老化を加速する老化細胞のことを通称『ゾンビ細胞』といい、世界中でこの『ゾンビ細胞』を除去する治療薬を研究開発されていますが、まだ市販されるまでには遠い道のりのようです。

ゾンビ細胞を除去する唯一の方法:大隈教授がノーベル賞を受賞したオートファジー

年間3,000本以上の研究論文が発表される生物学のテーマ
「自ら(Auto)」を「食べる(Phagy)」という意味を持つ「オートファジー(Autophagy)」

このオートファジーのメカニズムまでは覚える必要はないとは思いますが、オートファジーを発動させる断食については詳しく理解して実践することをおすすめします。

断食とカロリー制限(CR)がオートファジーを誘導する

老化を止めることにも役立つと言われている断食やカロリー制限(CR)ですが、その効果の中でも重要なのがオートファジーの誘導です。

これは、本質的に、細胞が自分自身を消化するプロセスです。これを行うための最良の方法は?断食。

実験によると、「食物を奪われたマウスでは、オートファジーのアップレギュレーションがわずか24時間後に見られ、この効果は48時間後に拡大されました。」。絶食することにより、細胞はオートファジープロセスを開始し、それらの不要な老化細胞を一掃するように促されます。

オートファジーで老化細胞を効果的に除去するには、いくつかの特徴がありますので、その具体的な方法については、またの機会にご説明します。

Bagherniya M, Butler AE, Barreto GE, Sahebkar A. The effect of fasting or calorie restriction on autophagy induction: A review of the literature. Ageing Res Rev. 2018 Nov;47:183-197. doi: 10.1016/j.arr.2018.08.004. Epub 2018 Aug 30. PMID: 30172870.

The effect of fasting or calorie restriction on autophagy induction: A review of the literature

老化細胞を一掃してからじゃないとどんな美容も健康法も効果を発揮しない

老化細胞で覚えておいて欲しいのが、炎症性物質を出して、健康な細胞までも老化細胞にしてしまうこと。

年齢を重ねて老化が急に進んだ。何をしても効果を感じられなくなった。それこそが、老化細胞が増えてきた合図です。

そうなってしまうと、どんな若返り方法も全く役に立たず無駄になってしまいます。

まずは、老化細胞を一掃させる、オートファジー断食を実践することが重要です。

再生研究所【リジェラボ!】が長年の研究から編み出したオートファジー断食で、まずは老化のスパイラルから脱却するようにしましょう!

そして、老化スパイラルの最初の引き金、エラスチンについても若返りのためには知っておくべき事実がたくさんあります。

これはまた、別のお話しで!

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